こんにちは、青山です。
今回はイジらないで、長瀞さん (著:ナナシ)のレビューとなります。

「イジらないで、長瀞さん」のあらすじ

「センパイ、キモいっスよ❤」
ある日、美術部員の八王子くんは不注意から、図書室でカバンの中身を床にぶちまけてしまう。入っていた自作のマンガを傍にいた後輩女子たちに読まれ、笑われる。何故か、その女子の内の一人、長瀞(ながとろ)さんに魅入られてしまったからさあ大変!その日から始まる、彼女の執拗な攻め!いや、責め!!八王子くんは長瀞さんのイジリにどこまで耐えられるのだろうか!?新感覚、ソフトSMラブコメディ登場!!!

草食男子の願望機

いきなり私事で申し訳ありませんが、最近、メインである小説のレビューをする気が起きません。

理由は簡単。

小説のレビューをしても“ほとんど読んでもらえない”からです(笑)。皆、小説に興味ないんですねぇ。もうホントね、笑っちゃうくらい読まれてないんですわ。
モチベーションが維持できませんわ。ってことで、これからはマンガや映画、その他、とりとめのないことをメインでレビューしていこうと思います。

と、決意表明したところで、早速本題に入りましょう。

このマンガを一言で表現すると、≪からかい上手の高木さん≫と≪宇崎ちゃんは遊びたい≫をミックスしてソフトSMを足したようなものですね。

ひ弱な男子高校生がSっ気のある後輩女子にちょっかいを出されまくるという物語。近頃、男子が女子から○○されるっていう作品が増えてきていますね。

男尊女卑の時代が終わってから今日に至るまでに、徐々に男が弱体化するのに反比例して女が強くなってきて、現在ではもう完全にパワーが逆転しているんじゃないでしょうか?

だからこそこのような作品が台頭しているのでは?
そうでなければ、この作品が35万部以上も売れている説明がつきませんもの。

読者が作品に求めるものは、代理満足と現実逃避ですからね。
登場人物に自己投影することで、自分の満たされない欲求を補えるし、楽しくない現実から目をそらせられますもの。だとすると、本来なら売れちゃいけない作品なんですよね、これ。

男が攻めで女が受けっていうのが生物としての正しい在り方なのに、この作品は真逆ですから。

この問題、けっこう深刻だと思いますよ。

この作品からは、こんな男性の姿が浮かび上がってきます。

・体が弱くて主体性もない。
・やられたらやり返す、倍返しだ!・・・なんていう気概もない。
・他人とはまともに会話できない、否定されるのが怖いから。
・異性と会話するなんて以ての外だ。でも、興味だけはある。
・自分からは積極的になれないけれど、向こうから来る分には構わない、というかむしろ来てほしい。
・理想を言えば、自分を包み込んでくれるような優しさを持って接してほしい。しかし、そこまで高望みはしない。
・疎まれ、蔑まれ、見下されるのには慣れているが、できることならガンガン責めてきてほしくはない。責められるにしてもソフトに責められたい。

とまあ、これが世の男性の肖像でしょう。
ふぅ、実に嘆かわしい。
男性の弱体化に歯止めはかからないものだろうか?
いや、無理だろうな。
男が男としての誇りをもって、胸を張って生きられるような社会や環境ではないですからね。

だから、そんな男性たちの願望を叶えてくれる本作は売れるわけだ。
かく言う私も、本作を買った男の内の一人なわけですがね。
私も御多分に漏れず、草食系男子なものですから。
そう、私のような男にとって、この作品は願望機のようなものです。

長瀞さんには愛がある

とにかく長瀞さんが可愛いくてしかたがない。黒髪ロングな褐色美少女ですからね、長瀞さんて。長い黒髪=大和撫子、褐色=ギャルというイメージ通り、彼女は両極端な要素を併せ持った存在なんですよね。めちゃくちゃ男と遊んでそうで、実は硬派で純情なんですよ。そのギャップに萌えますね。毎度毎度、ゾクゾクします。こんな子にイジられたいわ(変な意味じゃないよ)。

そうそう、イジめとイジりの違いはなんだと思いますか?これをしたら相手が悲しむかもしれないという“他者意識”を持って相手に接しているかどうかの違いです。

つまり“愛があるかどうか”なんですよ。

異性に対する愛ではないですよ。
意味としては、ホスピタリティ(思いやり)に近いですね。
長瀞さんにはこれがある、というか、センパイをイジっていく過程で成長していくわけですよ。
だから、八王子くん的には、ちょっかいを出された瞬間はイライラするしムカつくけれど、嫌いになれないんですよね。
されたいか、と聞かれたらされたくないと答えますが、じゃあ止めますね、って言われたら、いや、やれよって答えるという・・・自分でも何言ってんのかわからなくなってきました(笑)

結句、これは皆さんに読んで確かめてもらうしかないってことですね。

そうそう、長瀞さんにイジられている八王子くんって、実は本編で名前が出てこないんですよ。
第三話で名乗ろうとしたら長瀞さんに止められましたから。
つまりどういうことかというと、これは我々読者に対して「どうぞ自己投影してください」という作者の意図でしょう。
皆さん、これはもう八王子くんを自分に置き換えて読むしかないですね。
私はそうします。

本作は現在、3巻まで発売しています。
今後が楽しみなマンガです。

 

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