顔面考

こんにちは、青山です。
今回は顔面考(著:春日武彦)のレビューとなります。

「顔面考」のあらすじ

あなたの顔はいかがわしい!?博覧“狂”記の精神科医が綴る、顔をめぐる想像力と狂気のドラマ。(帯より)

天才へ近づくためのバイブル

“顔面を考える”とは、なんだか深遠なタイトルですよね。
そんなタイトルに惹かれて手に取りました。

結論から先に申し上げましょう。

深すぎる!!!”

これは明らかに、天才にしか書けない本ですわ。
使用されている言葉が難しいものばかりだから、辞書がなければ読めません。
加えて、喩えがもう、ちょっと考えたくらいでは理解できません。

“この本を読んで暇つぶししよう”なんていう気軽さでは無理!
・・・しかし、そんな難しい作品だからこそ読む価値があります。

やっぱり、こういう天才が書いた本を読まないと、頭が良くなりませんからね。
裏を返せば、本書のような難しいものを読めば、天才へ近づけるってことです。

カプグラ症候群

ソンディテスト、ドッペルゲンガー、醜形恐怖など、本書には魅力的なコンテンツが沢山あります。
中でも私が興味を持ったのが、“カプグラ症候群”です。

カプグラ症候群とは、身近な人間たち(配偶者、両親、同胞、子供、恋人)が、顔はそっくりだが実は全くの別人とすり替わり、彼らの正体は替え玉であると信じる妄想のことです(本書P.108より引用)

なんじゃそりゃ?っと思いますよね。
身近な人が別人のように感じられる、というだけなら納得できますけれど、さらに替え玉だと主張するなんて・・・。

アニメやドラマや映画じゃないんだから、現実に、そんなソックリに変装できる人間がいるわけないでしょうに。

と、そういう常識的な判断さえできない状態になっているという点が、この病気の切実さを物語っていますね。

なにしろ、この病気のために殺人事件を起こしてしまった事例もありますからね。
日本での事件について、本書のP.102~103に記載されているのですが、かなり悲惨ですよ。

加害者の青年は、あろうことか自分の両親を殺害していますからね。
しかも、自分が行った殺人についての罪悪感はゼロ。
まあ、本人からしてみたら、“自分の両親のふりをした奇妙な者”を排除しただけで、罪の意識がないばかりか、なんなら正しいことをしたとさえ思っているでしょうね。

救いようがない話です。

原因は?

インドの神経科学者・ラマチャンドランによると、カプグラ症候群は“主に視覚面での現象”である“可能性が高い”ことを突き止めたそうです。

カプグラ症候群の患者は、面と向かっては身近な人間を認識できないのに対し、電話などでは本人であると認識できるということに気付いたのだとか。
つまり、視覚情報から個人を判別している脳の一部の機能が正常に働かなくなっている状態なんですね。

もっとも、この辺りのことを調べてみると情報が錯綜していて、これがカプグラ症候群の原因だ!と断言するには至りませんでした。
相貌失認や離人症や分裂病などと混同されていたりしましたからね。

専門家ですら、よく分かっていないのでしょう。
脳については判明していない部分が多いですからね。
脳科学者の茂木健一郎さんのこんな言葉を思い出しました。

脳について一つ新しいことが分かると、同時に十個、分からないことが増える

治療法は?

残念ながら現在、カプグラ症候群に対する効果的な治療法は発見されていません。

もしも、あなたの近くに、「お前は偽物だ!」なんて言ってくる人がいたら、すぐに病院へ連れて行ってください。
傷つけられる可能性が十分にありますので、隔離するなどの判断を医師に任せましょう。

お互いのためです。
害する方も害される方も不幸になりますからね。

この情報が少しでも皆さんの役に立つことを祈ります。

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