こんにちは、青山です。
今回は野武士のグルメ(原作:久住昌之・画:土山しげる)のレビューとなります。
「野武士のグルメ」のあらすじ
香住武、60歳。35年勤めた会社を定年退職し、のんびりとした日々を過ごしている。気の向くままに食べたいものを食べ、時には失敗し、時には若かった頃を偲ぶ。孤独のグルメの原作者・久住昌之と、多くのグルメ漫画を世に送り出してきた漫画家・土山しげるがタッグを組んだ!
うん、いいじゃないか!
グルメ漫画は数多く存在しています。
ですが、一口にグルメ漫画といっても色々ありますね。
なので、大きく三つに分けてみましょう。
1.主人公が料理をする系
2.主人公が店に行って料理を食べる系
3.主人公が料理もするし、店に行って食べたりもする系
こんな感じでしょうか。
純粋な1や2のタイプは、あまり見かけないかな。
だいたいは3のタイプでしょう。
まあ、3の中でも料理することを主軸にしているものと、店に行って食べることを主軸にしているものがありますがね。
本作は、3の中でも後者の方です。
ですので、アウトラインだけなら何ら珍しくもない漫画なんです。
しかし本作は、普通とは少し趣を異にしています。
それは、主人公の年齢のせいでしょうね。
60歳の男性が主人公の漫画自体、そもそも多くないでしょう。
目の付け所が違いますね。
還暦の主人公なんて発想、出てきませんよ。
もっとも、原作者の久住さんも作画担当の土山さんも60歳くらいなので、主人公に自分たちを投影した方が、精神的に無理がなかったというのが一番の理由でしょう。
それに、主人公に自分たちを投影しているから、リアリティが半端ない!
主人公の造形がしっかりしているから、漫画なのにハッキリと現実の人間を感じることができます。
本作の素晴らしい点は他にもあります。
それは、“気取ったところがない”こと。
普通のグルメ漫画なら、一流の店に行って一番美味しいものを食べるというのがセオリーじゃないですか?
でも、本作の主人公は違います。
その時々の気分で食べたいものを食べます。しかも、それらが必ずしも“美味しいものではない”というところがまたリアルですね(例:悪魔のマダム 一巻109~124頁)。
加えて、主人公の語彙力と表現力の高さ!
難しいことを言っているわけではないのに、料理の見た目や味などの表現が的確だから、心の芯にまでグサリと刺さってきます。
「うん、いいじゃないか!」ってね。
外食するときに、本作の主人公の真似をして心の中でコメントするのが最近のマイブームです(笑)。
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