こんにちは、青山です。
今回は営業零課接待班 (著:安藤祐介)のレビューとなります。

「営業零課接待班」のあらすじ

苦手な営業に異動となり、ついにリストラ勧告まで受けたマジオこと真島等は、接待専門の「営業零課」で再起を図ることに。落ちこぼれ社会人のマジオと仲間たちは修羅場を乗り越え、年間売上50億という無謀な目標を達成できるのか!?涙も笑いも挫折も成功も、「働くこと」のすべてが詰まった感動の営業小説。(裏表紙より)

読まざるを得ない

私は今まで、仕事に関する小説を読んだことがありませんでした。

仕事が終わった後のプライベートな時間まで仕事に侵食されるようで嫌じゃないですか?
だから敬遠していたんです。

しかし、今は心と時間に余裕ができてきたので、仕事についての小説も読んでみようと思ったんですよ。

で、栄えある最初の小説がこれ。
本作は、タイトルと帯に書かれている文章に惹かれて手に取りました。

≪経験者だから書けた、元気が出るお仕事小説!≫
≪共感度100% ノンストップ感動物語≫

“元気が出る”や“感動”というパワーワードを使われたら読まざるを得ませんよね。

身につまされる

私大の法学部を卒業し、新卒で紅友ソリューション株式会社の法務課へ配属された主人公の真島等は、入社四年目に営業一課に異動させられます。

知識があれば何とかなる法務課の仕事と違い、人を相手にする営業は、真島には全く向いていませんでした。子供のころから気が小さく、引っ込み思案で真面目さだけが取り柄のような人間だったからです。

結局、営業一課にいた三年間、ほとんど売り上げを得られませんでした。

私は、そんな主人公の真島に、とても共感できました。
彼と私は共通する部分が多かったんです。
というより、瓜二つですね。
私のことが書かれているような気さえしてきました。

だから、本作のリアリティが尋常ではありませんでしたね。
切実に差し迫ってきましたよ。
どれだけ頑張っても成果が出ず、他人だけでなく自分自身も己を責める・・・。

完全なる悪循環。

この状態を例えるのなら、海中に沈められた上に首をロープで絞められているような感じです。
ただでさえ海の中で呼吸できないのに、首まで絞めるんかいっ!?
ははっ、詰んでますね。
そんな主人公の不遇が身につまされて、胸が苦しくなります。

しかし、本作の良いところは、この薄幸の主人公に救いの手を差し伸べた点ですね。

≪自分と他人の意識には差がある。自分が思っているほど他人は怖くはない。だからあなたは、あなたのままでいい≫

このようなことを言ってくれる存在によって主人公は希望の光を見出します。
それは、私にとっても救いになりました。
著者に心から感謝します。

気付いたら読み切っていた

本作は、仕事の専門用語を極力省いているものの、それでも読みやすくはないですね。
見慣れない言葉が多いので、辞書を引きながら読み進めました。
結構しんどかったですね。

ですが、その割にページをめくる手が止まることはありませんでしたね。

「あと一ページ読んだら休憩しよう・・・」
そう思って一ページ読み進める。

で、読み終わったら、「あともう一ページ読んだら・・・」

で、読み終わったら、「もう一ページ・・・」

って感じで、気付いたら読み切っていました。

もう一度言いますが、決して読みやすくはないんですよ。

それなのに本作は、私の心を惹きつけて放してくれませんでした。
ノンフィクションに限りなく近いフィクションだったからでしょう。

思弁的な作品よりも、こういった実証的な作品が好きです。
本作に出会えて良かったですよ。

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