こんにちは、青山です。
今回はホワイトアウト(著:真保裕一)のレビューとなります。


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「ホワイトアウト」のあらすじ

電力所の所員である富樫輝男は雪深い山奥で日本最大量の貯水量を誇るダムを管理していた。
ある日、裏の山で遭難した登山者がいるという連絡を受け、親友の吉岡和志とともに救助へ向かうが、遭難者を救助できたものの、富樫の過失で吉岡は命を落としてしまう。
友を死なせてしまった後悔の念を引きずったまま三ケ月が過ぎた頃、事件は起きた。
ダムが、とある武装グループによって占拠されてしまったのだ。
人質となっている麓の住民と同僚、そして吉岡の婚約者だった女性を救うため、一般市民でしかない富樫は勇気を奮い、巨悪に立ち向かう。

宣伝文句に違わず、圧倒的な作品

はい、また山を舞台にした作品です。
今回も、緑が生い茂るのどかな山ではなく、見渡す限り雪で覆われた酷薄な山が舞台です。
「圧倒的な描写力、緊迫感あふれるストーリー展開」という裏表紙の文句に惹かれて手に取ったのですが、当たりも当たり、大当たりな作品でした。

まず、雪の描写がすごい。
雪と一口に言っても色々あるんですね。
灰のようにふわふわ舞うなら灰雪だし、一年中溶けずに残っている雪なら万年雪だし、なかなか溶けない雪は根雪っていう具合。
(うろ覚えなんで上記の名称がすべて出てきたかは不明)

そして、その雪を見たり、触れたりして登場人物がどう感じているのかが丁寧に書かれています。

次に寒さや冷たさの表現。
ただ寒いとか冷たいんじゃなくて、どんな風に寒くて冷たいのかが、登場人物を通して読み手まで伝わってきます。
スキーやスノーボードなんてやりたくなくなるくらいに(良い意味で)。

きわめつけは戦闘シーン。
これがまたいい…
山に勤めているくらいだから、普通の人よりは体を鍛えているだろうけれど、一般人ですからね主人公は。
それがですよ、丸腰で、銃(カラシニコフやナガン)で武装した連中と戦うんですよ!
否が応でもテンションがアガるでしょうが!!!(田中邦衛風に)

発電所内での息も詰まる攻防、そして脱出、スノーモービルで向かってくる敵との戦闘、スノーモービルでの追走……
格闘好きな私も大・大・大満足でした。

そうそう、犯人にもびっくりしますよ!
お前かよ!ってなります。
詳しく書けないのが残念です…気になったらぜひ読んでみてください!

悪いところは特にないですが…

まあ、強いて言うなら、この主人公が強すぎるってところですかね。
普通に考えて、一般人が銃を持っている複数の敵と渡り合える訳がないですよね…

“リアリスト”(注1)にはお勧めできない作品です。
でも、そこに目をつぶれば欠点はないですね。

注1:現実主義者。現実に即して物事を考え判断する人のこと。

 

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