こんにちは、青山です。
今回はブラック・コール 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (著:佐藤青南)のレビューとなります。

「ブラック・コール 行動心理捜査官・楯岡絵麻 」のあらすじ

行動心理学を用いて相手のしぐさから嘘を見破る、警視庁捜査一課の美人刑事・楯岡絵麻。その手腕から“エンマ様”と呼ばれる。元教え子を8年間監禁した容疑をかけられる美術教師の真相とは。他人のパソコンを遠隔操作して殺人予告を書き込んだ容疑がかかるプログラマーと、彼についた人権派弁護士との対立。そして15年前に絵麻の恩師を殺害した犯人との直接対決など、難事件に挑む!(裏表紙より)

グレードアップしている!

本作は以前に紹介したサイレント・ヴォイスの続編です。
基本的に、シリーズものに手を出さない私が、どうしても読みたくなった作品がこれです。
前作が良かったんですよ。

といっても、何が良かったかと言えば、主人公の絵麻さんが可愛いってところですけどね。
内容は、まあ、それなりです。
第一話は素晴らしかったんですけどね。

ってなわけで、本作も内容には期待していなかったのですが・・・。
ふたを開けてみると、いや~、お見事!
実用的な心理学の知識やテクニックがテンコ盛りでした!

ドア・イン・ザ・フェイステクニックやロー・ボールテクニック、ロミオとジュリエット効果などの比較的広く知られているものから、ランチョンテクニック、単純接触効果、認知的整合性理論などの聞き慣れないものまで披露されています。

特筆すべきは、著者がそれらの知識を深く知っていることではなく、小説内で、その場の状況に応じたテクニックを引き出せているということですね。
私も小説を書いているので、これがどれほど大変なことか身をもって感じられます。
専門家と同等に、深く心理学を理解していなければできないことですね。
とても感心しました。

加えて、本作では前作の欠点がかなり改善されています。
前作では“なだめ行動”という単語が滅茶苦茶でてきてウンザリしたんですが、本作ではそれほど気になりませんでした。著者は腕を上げましたね。

著者がブラッシュアップしていく過程を楽しむことができるっていうことも、シリーズものを読むことの魅力なんですね。
う~ん、これからはシリーズものにも手を出してみようかなぁ。

第四話は最低な傑作だ

心理学に興味があるのなら、その辺の本屋さんに売られている下手な専門書を手に取るよりも、まず本シリーズから読んでみることをお勧めします。
わかりやすく書かれていますからね。
しかし、一つ問題があります。

シリーズの第二弾となる、このブラック・コールですが、第四話の内容がちょっと・・・。
主人公の絵麻さんの恩師を殺害した犯人との直接対決という、胸アツ展開なんですが・・・。
一言で、上品に言うと、酷い。
下品に言えば、胸糞悪い。

何が酷いのかというと、犯人の回想で“絵麻さんの恩師が殺害されるシーン”。
これは、もうホントに酷い。
吐きそうになりました。

私はグロ耐性があると思っていたのですが、ちょっと違うということに気付きました。ゲチョゲチョになった死体とかを見ても平気でしたが、なぜ平気だったかといえば、それを“人間の死体だと認識していなかっただけ”だったからです。

一人の女性が、善良な市民が、無辜(むこ)の命が、理不尽に玩弄(がんろう)され、蹂躙され、無残に奪われていく、その過程をまざまざと見せつけられるのは耐え難い苦痛でした。

妊娠していたんですよ。
彼女が、お腹の子をかばいながら懸命に暴力に耐える様は、嫌でも涙を誘います。

どうしてこんな惨いことが出来るのか?
犯人に対する憎悪と彼女への同情で胸が張り裂けそうになります。
絵麻さん、どうか彼女の無念を晴らしてください!!!
心の底から、そう願わずにはいられませんでした。

しかし・・・。
この結末は、どうか皆さんで確認してみてください。
私の口からは言えません。

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