こんにちは、青山です。
今回はON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子(著:内藤了)のレビューとなります。


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「ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」のあらすじ

刑事組織犯罪対策課の新人刑事、藤堂比奈子は、今日も実務や書類整理に忙殺されていた。
“髀肉の嘆をかこつ”(注1)日々を送っていたが、とある性犯罪者の奇妙で凄惨な自殺体が、彼女の生活を一変させる。
最初の事件を皮切りに続く、犯罪者たちの自死。彼らはかつて、自分が行った殺人と同じ手口で自らの命を絶っている。
ただの自殺か、自殺に見せかけた殺人か……後者だとしたら犯人の目的は?
新感覚ホラーミステリー、開幕。

私の心にとても刺さった作品

この作品は第二十一回日本ホラー小説大賞読者賞に輝いた作品です。
私は格闘の次にホラーが好きなので、この本を読ませていただきました。
「ホラーは小説よりも映画派」な私でしたが、この作品は楽しめました。

まず、何が良かったかというと、小説の滑り出しです。
プロローグの一行目を引用させていただきましょう。

“その日のことを思い出すと、今でさえ、彼は声を上げて泣きたくなる”

私はこの一行目で、ぐっと話に引き込まれました。
小説は一行目が重要なんですよ!

心理学でいう所の“初頭効果”(注2)によって、ポジティブな印象を最初に与えられるかどうかで、その作品の是非が決定されると言っても過言ではないんです。
その点で、この作品は私にグサッと刺さりましたね。
登場するキャラクターたちも良い味を出しています。

読後感も爽やかでしたね。
喉にたびたび、つっかかるものがあったのにもかかわらず、立ちこめていた霧がパァッと晴れるんですよ。

タイトルの“ON”て、こういう意味だったんだ!!!ってなります。
私みたいに人間の心理とか精神とかに興味がある人には、打ってつけの作品と言えるでしょう。

ちょっとエグイので気を付けて読むべし

個人的には非常に完成度の高い作品だと思いました。
ただまあ、ライトノベル寄りかな、とは感じましたね。

リーダビリティ(読み易さ)を追及すると、どうしても読者にそう思われてしまうよなぁ…
仕方のないところではありますね。

あとは、死体の描写が生々しいところですかね。
著者は死を活写する技術がエグイ…。
私はむしろ詳しく書かれていて好きなんですけど、グロいのが無理な人にはこの本をお勧めできません。
ただ…もったいないなぁ。
こんな良作、そうそうお目にかかれるもんじゃないですよ!

 

注1:実力・手腕を発揮する機会に恵まれないことを嘆き、それを愚痴ること。

注2:最初に示された特性が記憶(印象)に残りやすく、後の評価に大きな影響を与えるという心理効果。

 

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