こんにちは、青山です。
今回はDOJO-道場(著:永瀬隼介)のレビューとなります。


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「DOJO-道場」のあらすじ

―道場生の面倒をみてくれないか―
会社をリストラされた藤堂忠之は、学生時代に世話になった空手の先輩、神野聖司から頼まれ、彼が留守の間、彼が経営する潰れかけの空手道場を預かることとなった。
道場生を獲得するために孤軍奮闘するが、入門希望者たちは、ひと癖もふた癖もある者ばかり。
果たして、藤堂は神野が戻ってくるまで道場を守りきることができるのか!?

格闘シーンの描写はお見事

私は格闘ものが好きで、自分でも小説を書いています。
この作品は、私が格闘小説を書くための参考になればと思って読みました。
とは言ったものの、正直、あまり期待していませんでした。
格闘小説と言えば、夢枕獏さんや今野敏さんといった著名な方々がいて、私は彼らの作品を何冊も読んでいましたから、今更、他の人の作品を読んだって得るものがあるのか疑問だったからです。

しかし、結論から言って、・・・・・・超絶参考になりました!!!

一つ一つの動作が細やかで、それでいてダイナミックに描かれていて度肝を抜かれました。
著者の永瀬さんは主に犯罪ノンフィクション作品を上梓している方で、元はジャーナリストだったようです。
アクションシーンの瑞々しさは、綿密な取材に立脚しているのだとわかります。私のような格闘好きには是非ともお勧めしたい作品です。

 

!ここから先はネタバレがあります!

主人公への感情移入が難しい作品

主人公の藤堂忠之はお人好しです。
どれくらいお人好しかというと――

①リストラをすんなり受け入れる(人事部長に嘲笑され、恋人に呆れられる)
②自分の再就職そっちのけで先輩の道場を預かる(長くて二週間のはずが九ヵ月以上も)
③入門希望者の抱える一筋縄ではいかない問題にも真摯に向き合う(物理的に)

どんだけ~~~(IKKOさん風に)

個人的には、この主人公に感情移入できませんでした。
出鱈目に強い人間の腰が低いという所に矛盾を感じましたし、その上、恋人までいるとかあり得ないから!
強さは自信になって、その自信が慢心に変わりがちであるため、横柄とまではいかないまでも、藤堂ほどにお人好しにはならないと思いますよ。
他の登場人物の造形がしっかりしていて魅力的だから救われてはいますけどね。

サブキャラたちにスポットライトを当てて主人公をサブだと考えて読めばいける…
タイトル通り、道場がメインだから、格闘シーンは素晴らしい。
しかし、それ以外を求めてはならない、そんな作品だと感じました。

 

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