こんにちは、青山です。
今回は邂逅の森(著:熊谷達也)のレビューとなります。


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「邂逅の森」のあらすじ

時は大正。
秋田でマタギを生業とする家に生まれた松橋富治は、仲間たちと共に獣を狩っていた。
未熟だった狩りの腕もメキメキ上達し、マタギであることが楽しくなってきた頃、地主の一人娘・文枝と禁断の恋に落ち、村を捨てなければならなくなった。
その後は鉱山で鉱夫として働くが、狩りへの未練が立ち切れず、再びマタギとなる。

本のタイトルからは想像もつかないほど読みやすい

この本は直木賞と山本周五郎賞を史上初めてダブル受賞した作品ということで、気になったので読ませていただきました。
タイトルからして厳かな雰囲気が漂っているので、さぞや難しい言葉が羅列されているだろうとビクビクしながら二、三ページ読み進め……

あれ? 読みやすいぞ。しかも面白れぇ!!!

そうなんです。
この作品、驚くほど読み易いんです。

主人公が秋田出身なので、喋っている方言の意味が頭に入ってこないとか、ページ数が長いという点が気にならない人なら、スラスラ読めると思います。
とにかく、ページをめくる手が止まらないんです。
そういう仕掛けが盛りだくさんだから。

獣たちとの手に汗握る真剣勝負、甘くて苦い恋愛、鉱山でのイザコザなどを経て、心身ともに成長し、マタギとして再出発、そして最後の……おおっと、これ以上は言えない。
まあ、私が言うのもおこがましいのですが、賞を獲るのは当然だった作品でしょう。
とくに、初めて鉱山を訪れるシーンは必読の価値あり!

一人の衰弱した老人を負ぶって行くのですが……ああ、どう言ったらいいのだろう!?
どんな社会にもルールがあり、それに従って生きることは堅苦しいとしか感じられないのだという偏見が数舜、朧げになるほどの様式美を垣間見た、とだけ言っておきましょう。

この本は黙って読むべし

この作品について難癖をつけるつもりはないです。
黙って買って、そして読めばいいのです。

……いや、そんなことを言ったら“心理的リアクタンス”(注1)が働いて買う気が失せるでしょう。

だから買うなよ、買うなよ、絶対に買うなよ!!! ……買ってよ~~~(上島竜兵かよ)

今まで、私の中では五木寛之さんの「青春の門」が最高の作品でしたが、同じくらいか、あるいは超えているかもしれない…
そう言えば、青春の門にも炭鉱夫の話が出てきたなぁ。
私って、山の話が好きなんだなぁ。
私も東北生まれで山育ちだからかもしれないですね。

注1:自分の選択的自由が外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする反発作用。
簡単に言えば、あまのじゃくな心理のこと。
(例)お母さんから「勉強しなさい!」と言われると、「今やろうと思ったのに、うるさいな!」という反発とともに途端に勉強する気がなくなる。

 

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