こんにちは、青山です。
今回はストーミーマンディ(著:牧村泉)のレビューとなります。
「ストーミーマンディ」のあらすじ
「今日の出来事」
その一言から始まる、見知らぬ男からの悪戯電話。
話の中身はいつも同じで、毎日の日付を述べた後、その日の出来事を紹介する。
しかし、「それから、倉田さん。倉田諒子さん。お誕生日おめでとう」と言われ、それがただの悪戯電話ではないことに気付く。
だが、倉田諒子は気味悪がったりしない。それほどまでに彼女の心は荒んでいたからだ。
いっときの清涼剤を求めるように家出少女を泊めた時から、抑揚のない人生に嵐が吹き荒れる。
音楽を聴いたような読後感
皆さんは本を手にするとき、どのようにしてそれを選んでいますか?
誰かから勧められたり、自分で評価の高い本を検索したりしているでしょうか?
私はそのどちらでもありません。
本屋へ行って、背表紙を眺め、ビビッときた本を衝動的に買うのです。
最近では、何らかの賞を獲った作品ばかりを読み漁るようになりましたが、この本はそれ以前の、自分の直感のみに頼って選んだものです。
タイトルがいいんですよ。
直訳すると、嵐の月曜日です。
Tボーン・ウォーカーの歌に、この本のタイトルと同じものがありますね。
それもそのはず、この本のタイトルはTボーン・ウォーカーの歌からとったものだからです。
作中にも出てきますよ、この歌が。
いやぁ、これがまた、いい仕掛けになっているんですよ。
それは本編に譲るとして、書評を述べるとしましょう。
この本を一言で表現するなら、ブルースです。
何言ってんだこいつ、と思った方が多いでしょうね。
まあ、聞いてくださいよ。
この本は一貫して、物悲しくて滑稽なムードが“通奏低音”(注1)のように漂っているんですよ。
ものすごく長いブルースを聞き終わった後のような読後感がありました。
著者が伝えたかったものは、そういう哀切なんだろうなと思いました。
この本を読むなら、一人ぼっちでいる時の方がいいでしょう。
あなたの心が共鳴板となって、ブルースがさらに大きく心に響くから…
個人的にはオチは合わなかった…
途中までは良かったんですよ。
途中というか、最後の直前まではね。
それなのに、あのオチはないよなぁ…
いや、わかりますよ。
そうしなきゃブルースじゃないっていうのはわかりますよ。
でも、許せない…
私は、ブルースって好きじゃないんだなぁ。
歌だと、歌詞の内容なんてそっちのけで、耳に心地の良いギターやサックスやトランペットの音とボーカルの声にばかり注目しているので…
歌詞の内容にフォーカスすると、胸が締めつけられて涙が止まらなくなる。
もう二度とこんな作品は読みたくないです。
こちとら三十過ぎてるんですよ、もう泣きたくないっての。
注1:常に底流としてある考えや主張。