こんにちは、青山です。
今回はエンジェル伝説(著:八木教広)のレビューとなります。

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「エンジェル伝説」のあらすじ

碧空高校に転校してきた主人公・北野誠一郎は、新天地での生活がうまくいくかどうか不安だった。でも君なら大丈夫。天使のように純粋で透き通るような心を持っているじゃないか!……しかし、彼には一つだけ欠点があった。顔が、彼の顔は悪魔のように恐ろしかったのだ。そんな顔をしているため、周囲の人たちに様々な誤解を受けてしまう。容姿と中身が正反対の主人公と、彼を取り巻く人間たちが織りなす勘違いコメディ。

今までは小説をメインでレビューしてきましたが、そろそろ漫画のレビューもしたいと思い立ちました。

で、記念すべき第一作目がこの「エンジェル伝説」!
これは、私が今までに読んできた漫画の中で最も夢中になれた作品です。

この漫画のステータス

ストーリー :B
キャラクター:A
画力    :D~C
ギャグ   :A
友情    :A
恋愛    :B
ヤンキー  :C
格闘    :C

(ABCDFで、Aが最高評価。Eが無くてFが最低評価)

おいおい、最も夢中になったっていう割に、ステータスが低くないか?
そう思われる方もいるでしょうね。
まあ、私は辛口なのでね。
御理解いただきたいと思います。

では、ステータスについて解説していきましょう。
(若干のネタバレがありますのでご了承ください)

ストーリー

勘違いコメディって世の中に溢れているんですよね。
ただの勘違いコメディだったら即座にD評価でした。
しかし、主人公の容姿に端を発する誤解につぐ誤解によって展開していく物語は斬新で鮮烈です。

しかも、その主人公は心根が清廉潔白なのです。
優しさゆえに、誰かのために行動した結果、外見がアレなので勘違いされて大変な目に遭うという不遇!
落とし物を拾って届けようとしたら逃げられるし、道を聞こうとしたら逃げられるし、なんならもうただ歩いてるだけでみんな逃げていくし……。
しかも、彼は自分の顔が恐いことを自覚していないんですよ、とんでもないことにね。
それによって彼と周囲との齟齬が増えていくという悪循環。
第三者としてみていられる私には、その滑稽さが愉快でたまりませんでした!

キャラクター

文句のつけようがありません。
主人公の外見と精神のギャップに萌えることは言うまでもないですが、彼の周囲の人間たちも良いですね。
誰もかれも魅力的なのですが、あえて一人だけ紹介しましょう。

黒髪三つ編みなヒロイン・小磯良子。

父親から古武術を習っているため、かなり強いです。
正義感も強く、不良が大嫌いです。
なので彼女は最初、主人公のことを不良だと誤解して戦いを挑みますが、すぐに彼の内面に気付きました。
転校してきた主人公の最初の理解者です。

画力

巻が進むにつれて良くなりますが、初期の頃は結構ひどいですね。
お世辞にも巧いとは言えません。
しかし、私は画力を重要視していません。

「人の顔は玄関、中身はリビング」などと言われていますが、漫画にとっての玄関は画力、リビングは内容ですよね?
玄関が汚くたってリビングの意匠が優れていたら問題ないでしょう。
顔で判断するのもされるのも悲しいものです。
それこそ、この作品の主人公のように、ね。

ギャグ

お腹がよじれるほど笑えます。
通勤途中の電車の中など、公共の場では絶対に読んではいけない漫画第一位ですね。でも、ギャグ漫画の宿命ですかね、やはりマンネリ化は避けられていません。

中盤からは格闘要素や恋愛要素が多くなります。
まあ、それでもなおA評価にしているのは、初期のギャグが本当に素晴らしいからです。

友情

主人公は恐い容姿によって誤解されてしまいます。
勘違いから番長にされて、舎弟になる者もいました。
それが竹久優二です。

初期の頃は尊敬の念からではなく、恐怖心から主人公に従っているのですが、主人公の暖かい心に触れ、徐々に竹久は変化していきます。
終盤になって、主人公が不良ではないことに気付きますが、それによって主人公との主従関係が変わることはありません。
竹久も薄々はわかっていたのです。
きっかけはどうであれ、二人の間に構築された絆は確かなものです。

恋愛

学業優秀、品行方正、純真無垢。
顔はアレですし、奇声を発したりしますが、それ以外ならパーフェクトな男ですからね、主人公は。
外見に惑わされない女性なら惚れないわけがないですよ。

小磯良子もそうです。
彼らの甘酸っぱい恋模様は、ギャグ漫画の中の箸休めとしていい加減に提示されたものではないでしょう。
恋の種は、一巻ですでに植えられていましたからね。

ですが、いかんせんギャグがメインの漫画であるため、恋愛要素は夾雑物のように感じられなくもないです。
やるならやるで、ガッツリやってほしかったですね。

ヤンキー

主人公が番長ということにされてしまったため、自校だけでなく他校の不良たちにも狙われてしまいます。
たくさん不良が出てきます。
しかし、迫力不足ですね。
顔だけなら主人公が圧倒的に恐いので、どんな不良が出てきても恐くないんですよ。

それにステレオタイプですしね。
どこどこ中学で名の知れた誰々だとか、そんなのばっかり。

格闘

実は、主人公は身体能力も並外れています。
それゆえに勘違いに拍車がかかるのですが……(今は置いておきましょう)。
そのため、不良たちや、教育委員会からの刺客とも互角以上に戦えるのです。

しかし、私は眼が肥えすぎているので、格闘描写単体で見た場合、いまひとつだと感じました。
コメディ漫画でこれだけ描けたら及第点ですけど……う~ん。

まとめ

この作品はコメディ、格闘、友情、恋愛と、様々な要素が混ざり合っています。
普通、これだけ混ぜ合わせれば、調和のとれない“ごった煮”になるところですが、この作品は奇蹟的なバランスで完成しています。よほど作者の料理の腕が良いのでしょう。
それは、作者の次回作である「クレイモア」でも遺憾なく発揮されています。

「エンジェル伝説」はOVA化されているので、漫画よりもアニメが好きという方はそちらをご覧になってみてはいかがでしょうか?
この作品の魅力の表皮くらいは理解していただけると思います。
もちろん、漫画が好きな方には是非とも読んでいただきたいですね。

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