こんにちは、青山です。
今回は即興ワルツ 青遼競技ダンス部の軌跡 (著:佐々原史緒)のレビューとなります。
「即興ワルツ 青遼競技ダンス部の軌跡 」のあらすじ
成島拓海は同大学の橋本秋帆に狙われていた。彼女は拓海の長身を頼みに――共に“競技ダンス”で日本一を目指そうというのだ。さる事情から人付き合いを避けてきた拓海に、よりによって女子の手を取り笑顔で踊れだなんて!当然断るものの、諦めようとしない秋帆の真剣さに屈し、拓海は期間限定で入部する契約を交わす。優雅なイメージとは裏腹、体育会系な活動に絞られる日々を送る拓海。やがて応援に訪れた大会で、予期せず出場することとなり・・・。ダンスにかける“ふたりたち”が描く、青春と人生の心躍る軌跡。(裏表紙より)
スラスラ読めるのに深い文章
小説家を目指して早7年。
毎日毎日、飽きもせずに本を読み、小説のネタがどこかに落ちていないかと家の周辺を歩き回る日々。
目にとまった本屋は素通りすることなく全て立ち寄り、置いてある本を眺めていると・・・。
「ワルツ?」
ダンスって、映画やマンガならさして珍しくないモチーフですが、小説でダンスとなると珍しいですよね。
で、即購入。
ただ、買ってから少し後悔しました。
この作品、なんの賞も獲得していないんですよ。
それってつまり、品質が何ら保証されていないってことですから。
酷いやつだとムカつくだけで得られるものが何一つないんですわ。
「失敗したかな?」
不安は募るばかりでしたが、せっかく買ったので読まないわけにはいかない。
おずおずとページをめくっていくと・・・。
私の不安は、とんだ杞憂だったことが判明しました。
読む前の自分が恥ずかしくなりましたよ。
素晴らしい筆致です。
難しい漢字や表現がほとんど使われていないにもかかわらず、重厚な描写にはただただ唸るばかりでした。
非常に勉強になりました。
ダンスについての知識がないと・・・
ただ一つ、欠点を挙げるとすれば、ダンスを全く知らないという人が読んだら情景をイメージできないってことですね。
例えば、下記のような文章。
これはポイズという、バランスを保った態勢を表現しています。
≪拓海の差し伸べた左手を取り、左の腕をその腕へと回して、秋帆もまた一歩を踏み出す≫
どうですか?
イメージできますか?
私には、頭にその画を思い浮かべることができませんでした。
動画を観て、ようやくどういうものか理解しましたが、わざわざそこまでしなければならないとなると面倒ですよね。
まあ、ダンスに興味がある人をターゲットにしているのでしょうから、いいんですけどね。
それに、プロだったら誰が書いても上記のような文章になるような気もします。
無駄がなくてスマートですからね。
参考程度に、私ならこうするという文章を下記に載せましょう。
≪拓海の差し伸べた左手を右手で取り、左手を、彼が背中へ回した右腕の上膊へ置いて、秋帆もまた一歩を踏み出す≫
ね、これだと不格好な文章ですよね。
私はついつい、こんな肉付きの多い文章を書いてしまいます。
ダメですね。
やっぱり、削れるところは削っていかないといけないんでしょうなぁ。
しかしまあ、ダンスについての知識がある方ならば、スッと情景が浮かんでくると思います。
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