こんにちは、青山です。
今回は女王はかえらない (著:降田天)のレビューとなります。

「女王はかえらない 」のあらすじ

小学三年生のぼくのクラスでは、マキが女王として君臨し、スクール・カーストの頂点に立っていた。しかし、東京からやってきた美しい転校生・エリカの出現で、教室内のパワーバランスは崩れ、クラスメイトたちを巻き込んだ激しい権力闘争が始まった。そして夏祭りの日、ぼくたちにとって忘れられないような事件が起こる――。伏線が張りめぐらされた、少女たちの残酷で切ない学園ミステリー。(裏表紙より)

私に波長が合った作品

本作は第十三回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品です。
大賞というだけのことはあるなぁ、というのが、本作を読み終えた私の率直な感想です。

まず、何が良いのかというと、そのリーダビリティ(読みやすさ)。
難しい言葉や言い回しがないのでスラスラ読めます。
しかし、文体が稚拙だというわけではありません。
これが絶妙なんですよ。

次に、伏線の張り方。
これが巧いのなんのって。
私も小説家を目指している身ですから、「これが伏線になっているんだな」とか、「こういう結末になるんだろうな」ってことを読みながら想像しているのですが、答え合わせをすると半分も正解できてないですね(笑)。

“これ”には気付けたけれど、まさか“あれ”がああなるとは・・・。
ってね、なんかこう、映画のファイナル・デッドコースターのような仕掛けなんですよ。

≪一つの仕掛けに気を取られていると他の仕掛けに気付けない≫ですね。

上記の二点から、ページをめくる手が止まらなくなりますよ。
久々に大当たりな作品でした。
私と波長の合う本に巡り合えて嬉しかったです。

しかし、一つだけ苦言を呈したい。
本作では小学生が饒舌すぎではないでしょうか。
もっと簡潔に言えば、大人に近すぎるのではないでしょうか。

私が子供の頃は大きな悩みもなく、家に帰ったら何をして遊ぼうかということばかり考えていた気がします。
ガキ大将はいたけれど、カーストなんてものはなかったし、特別に仲のいい友達はいたけれど、だからといってそれ以外の子たちと交流しなかったかといえば、そんなことはありませんでした。

牧歌的で、損得勘定で動くこともなかったし、ザ・子供!って感じでしたね。
でも、この小説に描かれているようなものが、現代の小学生たちの現状なのでしょうか?

だとすると、恐ろしいですね。
子供が子供らしく生きられない時代だということですから。

タイトルの意味

「女王はかえらない」というタイトルですが、どうして“かえらない”が平仮名なのか?
その答えは、本作のP.346に書かれています。
私はなるほど!と膝を打ちました。
言葉って面白いですね。

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