こんにちは、青山です。
今回は映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~のレビューとなります。
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「映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~ 」のあらすじ
春日部にある中華街のアイヤータウンで、しんのすけ達カスカベ防衛隊は、伝説のカンフーである“ぷにぷに拳”を習うことになる。そのころアイヤータウンでは、食べた者が狂暴化してしまう“ブラックパンダラーメン”が大流行していた。しんのすけ達はアイヤータウンを救うために立ち上がる。(シネマトゥデイより)
※この先、ネタバレが含まれています。
皆さんの低評価を覆したい!
私は、小説と漫画だけでなく映画も大好きなので、映画のレビューもしていきたいと思いました。
で、栄えある一作目がこれ。
「おいおい、もっと他にレビューするべき良作があるだろう」という皆さんの言葉が聞こえてきそうです。
私も、記念すべき最初の作品となるので、最高と断言できるものを評価したかったのですが・・・まあ、この作品を選んだ理由は二つあります。
一つ目は、単純にクレヨンしんちゃんが好きだからです。
クレヨンしんちゃんの映画は全て観ています!
ドラえもんやコナンの映画も好きで、けっこう観ていますが、全シリーズ制覇しているのはクレヨンしんちゃんだけです。
二つ目は、この作品に対する“鑑賞者の評価が非常に低い”からです。
数あるクレヨンしんちゃんの映画の中でもダントツじゃないでしょうか?
それが悲しいので、少しでも皆さんの考え方を変えたいと思い、レビューしようと思ったのです。
武道に焦点を絞れば最高の作品
クレヨンしんちゃんの面白さと言えば、下ネタや下品な言動ですよね。
そういうのに過敏な御時世ですが、しっかりと低俗な笑いをブッコんでくれるのは有難いですね。
しかし映画には、テレビ放送ではあまり観られないプラスアルファがあります。
家族の絆だったり友情だったりするわけですが、本作ではそれらが弱いと感じる方が多いようですね。
そのことが低評価につながっている原因のようですが、中でも私が気になったのは、「あのラストシーンは納得がいかない。最後はちゃんと戦ってほしかった」という意見です。
この意見を受けて、私は絶句してしまいました。
私は、あれほど素晴らしいラストシーンはないと思っていたからです。
どうも皆さんは、武道について誤解しているようですね。
まずは、その誤解を解くところから始めましょう。
そもそも武道の“武”という漢字は“戈(ほこ)”と“止(とめる)”という二つの文字から成り立っています。
戈を止める・・・即ち、武という漢字には“戦わない”という意味が込められているのです。
そうです、武道の目的は、いかに敵を効率的に破壊するかを追及することではなく、争いのない平和な世界を目指すことなのです!
本作ではドン・パンパンが悪で蘭ちゃんが正義として描かれていたのに、途中から蘭ちゃんが悪になってしまいましたね。
当然です。
正義と悪は、立場や視点が変われば容易に反転しますからね。
一方が一方を打ち負かしてやりたいと考えた時点で平和な世界の実現は不可能になるのです。
「反戦運動などには参加しません。ですが、平和活動には喜んで参加します」(by マザーテレサ)
このマザーテレサの言葉からもわかる通り「戦争はダメだから止めなければならない」というのは“自分が認められないものを排除してやろう”という思想であり、つまり、反戦思想の根底にあるのは、戦争をしたいという人たちと同じものなのです。
だから≪拳を交えるよりも手を取ろう、肩を組もう、ともに踊ろう、笑い合おう≫それが武道の目指すところなわけです。
そう、あのラストシーンは武道の究極の形だったのです!!!
しんのすけ達を倒してやろうと力んで構える蘭ちゃんに対し、しんのすけ達はジェンカを踊るという行動に出ました。それを観た時、私は感動で震えましたね。現実の世界では決して実現することのできない平和な世界が提示されたのですから。
これは、しんのすけという不世出の天才がいたからこそ成しえたことであり、誰にもまねのできない偉業です。
だから、武道という点からこの作品を観れば、クレヨンしんちゃん史上最高の傑作なんじゃないでしょうか!?
まさお君は覚醒していた
まさお君といえば、普段は臆病で泣き虫ですが、映画ではたびたび物凄い活躍をすることがありますね。
人格が180度変わって、身体能力が大幅に向上しますし、トラックの運転などもこなせるようになるという、いわゆる“覚醒”ですね。
それがクレヨンしんちゃんの人気に一役買っているわけですが、本作ではそれが観られずガッカリしたという方が多いようです。
しかし、まさお君はちゃんと覚醒していましたよ。
それは、蘭ちゃんが悪になった後で、師匠とともに生活していた彼を観てもらえればわかります。
パン・ツー・丸・見え、しか喋れなくなった師匠の言っていることが理解できるようになり、言動も柔らかくなり、とても澄んだ目をしていますね。
実はこれ、武道を極めた人に見られる特徴なんです。
自分の弱さと向き合い、あらゆるものを受け入れた者のみが到達できる領域に、まさお君は立ったのです。
そこに至った人間は誰からも好かれるし、相手に争う気力を失わせます。
カスカベ防衛隊の皆から「まさお君、かっこいい」って言われていることからもわかると思います。
私としては、そこへ至るまでの過程を詳しく描いてほしかったのですが、尺が足りないし、主役はやっぱりしんのすけだから仕方ないのかなぁ。
つまりまとめると…
アクションシーンはとても細かく作りこまれていましたし、単純な二項対立としての正義と悪を描くだけの作品ではなかったので大満足です!!!